郡上市/大野市(岐阜/福井) 西山(1359m) 2022年3月27日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 5:02 除雪終点(駐車箇所)−−5:18 尾根取付−−6:31 1210m峰−−7:03 1330m峰−−7:15 西山 7:18−−7:29 1330m峰−−7:47 1210m峰−−8:12 林道−−8:18 除雪終点(駐車箇所)

場所岐阜県郡上市/福井県大野市
年月日2022年3月27日 日帰り
天候小雨後曇
山行種類残雪期の藪山
交通手段マイカー
駐車場除雪終点に1台分の駐車余地あり
登山道の有無おそらく無し
籔の有無残雪に埋もれて無し
危険個所の有無無し
冬装備スノーシュー、ピッケル(スノーシューで急斜面を下らなければ不要)、アイゼン(未使用)
山頂の展望ブナ林であまり良くない
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コメントこの界隈で唯一未踏の西山に日帰りで登った。日の出前は微かに雨粒が落ちていたがその後は曇り空に。山頂にはガスがかかっていたが到着時はガスが切れるかギリギリの状態で、山頂を下ってから山頂のガスが完全に晴れた。アプローチに使用した林道は堰堤工事のおかげで予想外に奥まで除雪されていた。その先はまだずっと残雪が続き藪は埋もれていたが、場所によっては積雪は50cm程度で2週間も持たないかも。でも雪が溶けた箇所で見られた藪はそれほど濃くはなく、山頂付近まで林道が達しいているので無雪期登山も選択肢になりそうだった


毘沙門岳から見た西山


除雪終点に駐車 最初に向かった林道は間違いだった
尾根取り付き。白点は雨粒 標高750m付近
標高900m付近 標高950m付近。積雪は30p程度
標高980m付近の熊棚 熊の木登りの跡
標高1010m付近の林道 日の出
林道が尾根を外れると尾根を登る 標高1130m付近
標高1160m付近 標高1190m付近から北東を見下ろす
植林の中の目印。今回のルートでは目印はほぼ無し 山頂を見ているがガスの中
標高1210m付近から見た県境稜線 1210m峰の一角
1210m峰西側で尾根が南へ屈曲した場所 古いスノーシューの跡
2つ目の1210m峰付近 1200m鞍部から西を見ている
標高1230mの雪に埋もれた林道 標高1230mから斜面を見上げる
標高1280m付近の根曲がり竹 標高1300m付近でガスに突入
1330m峰直下の雪庇 1330m峰から山頂方向を見ている
分かりにくいがスノーシューの跡 標高1320m峰の藪。思ったよりも薄い
1310m鞍部からの登り返し 標高1330m付近
山頂直下 西山山頂
唯一の山頂標識 山頂から北東を見ている。ガスが切れかかっている
1310m鞍部付近から見た鷲ヶ岳方面 1310m鞍部付近から見た木曾御嶽
1310m鞍部付近から見た中央アルプス 1310m鞍部付近から見た乗鞍岳
西山山頂のガスが晴れた 下りでは意図せずスノーシューで滑り降りる場面も
蓮原川沿いの林道林道 この看板から尾根に取り付いた
沢が増水して路上を流れる。長靴で正解だった もうすぐ駐車場所
駐車箇所 堰堤工事現場。このおかげで林道が除雪されていた


 先週の3連休で石徹白周辺の山を稼いだ結果、この界隈で未踏は西山のみとなった。場所が遠いので来年に回してしまってもいいのだが、残り1山という非常に中途半端な状況は大いに気になる。今週末の天気予報は当初は週末に低気圧が接近して土日とも大荒れだったが、直前になって日曜日は急速に回復の予報になっていて1日のみなら出かけられる予報に変わった。だったら残り1山の西山を片付けようと決めた。日帰りでここまで足を延ばすのは異例であるが、この1山を片付ければ高山市より奥の岐阜県北半分はおしまいである。

 西山は登山道は無く、ネットを見る限りでは一般的には北側のスキー場から毘沙門岳と合わせて登られるようだが、西山だけ登るなら東側の干田野集落から蓮原川沿いの林道を入って適当な尾根を登るのがいいだろう。そのまま林道を上がる手もあるが、林道はジグザグに上がって距離が長いし、急斜面に付けられているのでショートカットもやっかいそうであり、今回は選択肢から外した。

 一番効率的なのは標高830mで蓮原川が2俣に分かれた真ん中の尾根で、ここから西山北側の県境稜線に上がって山頂を目指すルート。余分なピークは無くおそらく最短距離だが、問題は沢の渡渉。沢に挟まれた尾根なので左右どちらかの沢は必ず渡る必要があるが、水量や沢の深さが全く不明で現場に行ってみたらダメだったという可能性がある。

 次点の候補は標高680mまで林道を進んでそこから南西へ上がる顕著な尾根に乗ること。前者のルートよりリスクは低いが、県境に乗ってから余分なピークをいくつか越えなければならない。どちらにするかは積雪状況や蓮原川の水量を見て決めることにした。

 土曜日はちょうど会社が出勤日であり、天候が悪いのはいいタイミングだった。長野市内では雨は大したことはないが南風はやや強い。北陸では大荒れでトラックが横転するほどの強風だったようだ。雨は西に進むほど強くなり、県境を越えて岐阜に入ると本格化。高山を過ぎて旧清見から一般道に降りて国道158号線を南下すると、雪解けも相まって路上が川のようになった場所が多数あった。この国道は路面状況が悪くアスファルトなのに穴が開いていたりするが、雨で全く見えなかった。

 南下を続けると徐々に雨が弱くなってきて、石徹白への分岐である前谷集落では密度の濃い霧雨状になった。地形図を広げて道を確認し、国道を少し南に下って蓮原川左岸から西に入る坂道へ。集落内をうねりながら高度を上げ目的の林道入口に到着。そこには工事中の看板が出ていたが一般車進入禁止の看板は出ていなかった。どこで工事をやっているのか不明だが、できるだけ奥まで入れると助かる。

 工事車両のためだろうか、狭い林道の路肩側には鉄板があちこちに敷いてあった。雨の影響だろうか、路面には落石が多数あって車で入るのにちょっと心配だったが、工事車両が入るくらいなので大規模な落石は無いだろうと奥へ。蓮原川本流を渡る橋付近は路側の水路から滝のような大量の水があふれて路面を流れていて、さすがにこれはまずいだろうと少し戻った場所で仮眠。路面上を流れるあの水量だと登山靴はもちろん、長靴でも浸水するかもしれない。あれを突破できなければ西山は登れない。どうしても歩いて通過するのが難しい場合は車で通過するにしても、もっと水量が減ってくれないだろうか。雨が上がって明朝には水量が減ることを祈るばかりだ。

 翌朝は日の出前に出発するため4:00に起床。簡単な朝飯を済ませて車で上を目指した。問題の橋付近の水路は大幅に水量が減ったようで水は溢れておらずに一安心だが、橋の下の本流は激しい流れであり、これでは上流の二股に挟まれた尾根に取り付くのは厳しいだろうと判断し、2番目のルートで行くことに決定。

 林道は除雪終点まで車で乗入れた。地形図で標高620mで林道が分岐する地点で、ここの川沿いが工事現場で除雪してあったのだった。ここまでの林道沿いは雪は非常に少なく今回は藪漕ぎかと思ったが、この先の林道は完全に雪に埋もれていた。

 本日の冬装備は先週の反省を踏まえてスノーシューにアイゼン、ピッケルとした。今日は雨上がり直後で気温は高く雪が緩んでいる可能性が高いのでアイゼン、ピッケルは不要かもしれないが、何があるか分からないので念には念を入れてだ。今日のルートはそれほど長くないので足元は長靴としたが、これは大正解であった。

 まだ真っ暗な時刻に出発。杉植林の隙間からは星空が見えたので天気は回復したと判断して雨具は持たなかった。雪は残っていても気温が高いと杉花粉が飛ぶようで、抗アレルギー薬を飲んでいても昨夜から目の痒みが本格的だ。これからはもっと北に活動範囲を移す必要がある。

 駐車場所より上部では一部の林道路面が顔を出していた。雪解け水が勢いよく流れて雪を溶かしているからで、最初はこれを辿ったが大失敗。この林道は2分岐する左側の林道で蓮原川沿いではなく斜面を上がるものだったのだ。歩き始めてすぐに進行方向が大きく左カーブしていることに気付いた。地形図を広げると目的の林道は川に沿ってまっすぐ進むはずで、もう片方の林道に入ってしまったことに気付いて逆戻り。川沿いの林道も雪解け水で僅かに路面が開けているが、さっきの林道と比べれば非常に細い。どちらの林道も予想外に舗装された路面であった。

 林道は雪に埋もれているので全く見えないが、木の間隔の空き方で道の続きは把握できる。最初はツボ足で歩いたが踏み抜くことがあるのでスノーシューを装着。これでほとんど潜らなくなった。雨の影響で雪が緩んでいるかと思ったがそうでもなかった。緩い雪はおそらく雨で溶けてしまったのだろう。

 林道が右カーブする個所で路面上を勢いよく流れる沢が登場。橋は無く沢の水は路上を流す構造らしい。深さは大したことはないが流れが強く、長靴でも水が上がって濡れる危険性が。少しでも高さを稼ぐためスノーシューのまま横断したら濡れることはなかった。ここは登山靴だったら浸水必至だろう。

 この沢のすぐ先が尾根取付だった。ここで左側斜面の傾斜が緩み、この先の林道沿いは傾斜が非常にきついので地形図の表記通りだ。それに顕著な尾根なので隣に沢があるのも地形図通り。まだライトの光が必要な明るさで狭い範囲しか見えないが、ここは自信をもって現在位置を確定できた。

 尾根末端はバラけてはっきりしないが、ここは高いところを目指せば尾根が終息するので気にせずに登りにかかる。林道の杉植林帯では気付かなかったが細かな雨がまだ降っていて、写真撮影でフラッシュを焚くと白い点として映り込んでいた。雨具を持ってこなかったのは失敗だったかと思ったが、衣服が濡れるほどの強さではないし回復傾向のはずなので、これから止むであろう。

 すぐに尾根が収束して明瞭な尾根に変わる。尾根末端のみ植林だったがその後は明るい自然林に変わる。尾根北側は植林された箇所があるが、尾根直上や南斜面は自然林である。傾斜は適度でグングン高度を稼ぐ。積雪は植林帯よりもぐっと減って根開きした木の周囲を見る限りでは30cm程度だろうか。この暖かさが続けばおそらく1週間程度で消えてしまうだろうが、見えている地面にはまだ藪は無く、この標高は無雪期でも問題なさそうだ。

 曇り空で好天時より明るくなる時刻は遅いと思うが、5時半くらいからライト不要な明るさになった。頭上は雲に覆われて入るが部分的に青空が見える場所もあり、雨を降らせるような暑い雲ではない。東の空の方は青空の広さがずっと広く、どうやら県境稜線に雲が絡んでいるような気配だ。まだここからは西山山頂は見えないが、もしかしたら山頂は雲の中かも知れない。

 標高980m付近ではブナの木に熊棚が登場。ここだけでなくあちこちに熊棚が見られたが、まだ雪の上に熊の足跡はなかった。ただしこの気温の高さでは熊の目覚めは近いだろう。

 地形図通りに標高1020mで雪に埋もれた林道が登場。道幅は結構広そうで、もしかしたら川沿いと同じく舗装されているかもしれないが、ここまで上がると積雪量が多くなり路面は全く見えない。林道は尾根を削って造成されていて斜面側は法面なので、再び尾根に取り付くには這い上がれる場所を選ぶ。肩付近まで登るまでに何度も林道を横切った。

 標高110m付近で傾斜が緩み尾根は徐々に南に向きを変え、標高1200m付近で肩に到着する頃には完全に南に向きを変えた。肩付近からまだ背が低い杉の植林帯に変わり、花粉を浴びないよう慎重に木の隙間を縫って進んでいく。右手には西山山頂と思われるガスに覆われたピークが見えており、残念ながら山頂では何も見えないかも。時間経過とともに天候は回復傾向のはずなので、山頂に到着する頃には多少はガスが晴れる時間があるといいのだが。西寄りの風が強くて体感的には寒いが先週の小白山と違って気温は高めで、おそらく霧氷は無いだろう。東の空も雲は多いが晴れ間も見えている。鷲ヶ岳等の高いピークは西山同様に雲の中で見えない。

 やがて正面には東西に延びる県境稜線が登場。ここも杉の植林帯で雪に埋もれた林道があるのは地形図通りだ。1210m峰は東西に長いピークでどこがてっぺんなのかはっきりしないが、下り始めた地点で県境稜線は左へ屈曲するので注意、右にも尾根が派生していて、こちらの方が先が見通せて尾根続きだと分かりやすいので引き込まれやすい。地形図での確認が必要だ。

 県境稜線は左から回り込むように1330m峰に接続するが、ここも若い杉の植林であった。林道はこれらの林業作業用だろう。2つ目の1210m峰付近からは植林は稜線の南斜面に変わり、尾根直上から北斜面はブナを中心とした明るい自然林に変わる。相変わらず林道が尾根を横断する個所は斜面側が法面と化していて、登れる場所を探してよじ登った。

 標高1280m付近では根開きしたブナの根元に根曲り竹を発見。この付近は無雪期はかなりの藪らしいが、杉の植林帯の中はどうなっているだろうか。こちらは地面が見えている個所は皆無で、無雪期の植生を窺い知ることはできなかった。

 1330m峰直下は雪庇ができていたが、広い尾根でつながっているので雪壁とはなっておらず簡単に乗り越えることができた。1330m峰から西山山頂は間近に見えるはずだが、ガスの中で全く見えなかった。というか、自分がいる場所が既にガスの中であった。

 1310m鞍部にかけての緩やかな下りで尾根直上の藪が一列に出ている区間があったが、先ほどの背の高い根曲り竹ではなく細く背の低い灌木とこれまた背が低い笹が中心で、まるで上越国境のような植生であった。この程度の藪であれば無雪期でも許容範囲だろうが、先ほどの背が高い根曲り竹が見えた場所のように藪が濃い場所があるのも確実。問題は全体としての藪の濃さだが、こればかりは雪がある時期に登ったのでは把握できない。この区間で古いスノーシュー跡が確認できたがごく一部の区間しか判別不可能で、どこから登ったものかは分からなかった。

 1310m鞍部から緩やかな稜線を登り切った背の高いブナに覆われた平坦なピークが西山山頂であった。平坦なので正確な山頂が分かりにくく、念のために西に延びる平坦地の端まで行って振り返ると、広い尾根が屈曲した付近が最も高い場所に見えたのでそちらに戻って周囲のブナを見ると、やや細めのブナの高い位置に緑色の山頂標識がかかっていた。残念ながら山頂付近はまだガスがかかった状態で、時々薄くなって下界が見えることはあるが頭上は真っ白なままで、お隣の毘沙門岳は影も形も見えなかった。風も強く寒いしまだ疲労は感じなかったので、写真撮影だけして下山を開始した。

 帰りは往路を戻る。雨の影響だろうか、雪はそこそこ締って沈まないが表面は湿っぽくて滑りやすく、スノーシューで急傾斜を下る際は意図せず雪面の表面を滑り落ちる場面も。何度かピッケルで停止する羽目になった。ここは立木が多いし、ずっと下まで急斜面が続くわけではないので滑落の心配はさほどないが、湿った雪なのでコケると衣服が濡れてしまうので注意して下った。もしかしたらスノーシューを脱いでツボ足で下っても、さほど踏み抜かなかったかもしれない。

 蓮原川沿いの林道に降り立ち、路上を流れる増水した沢は上流側に飛び石を発見して往路より簡単に渡ることができた。ここまで下ると杉花粉を感じるようになり再び目の痒みが。今日は日曜なので駐車地点に戻っても工事はやっていなかった。

 着替えて落石をよけながら林道を下って集落に出れば安全地帯。途中の駐車余地で少々腹ごしらえしてから帰途に付いた。なお、長野県内は岐阜県内よりも格段に花粉は少なかった。杉花粉は残雪量の寡多よりも平均気温の高低に大きく影響されるようだ。長野市内はもう雪はほぼ見られないが、高鷲よりも花粉は確実に少なかった。

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